3才の女の子Nちゃんとの時間

 

3才のNちゃんは7月から個別指導というかたちでお母さんと一緒に通ってくれています。

幼稚園では絵や字を描かないというNちゃんを心配されて当教室を尋ねて来られたのです。

マンツーマンでのNちゃんとの時間を書きとめていきたいとおもっています。

 

 

 

描かないというのには何かしらの理由があるはずです。しかし、その理由をすぐに見つけることは大変難しいことです。幼稚園でのNちゃんの様子を知ることができれば手がかりが見つかるかもしれませんが、今はここ(教室)での様子を少しずつ観察し、お母さんの言葉とあわせて考察することから始めるしかないとおもっています。

 

Nちゃんとはじめて会ったのは、体験教室で来られた6月です。

私の手ではどうすることもできなかったらお母さんもがっかりされるだろうなと不安もありましたが、誘導して無理に描かせるようなやりかたはとりませんでした。Nちゃんを知りたかった私はいつもどおり、入り口だけを用意してあとは本人の意思に任せて進めていくようにしました。

始めてみると、私の心配もよそに、差し出した紙にNちゃんはどんどん描いてくれたのです。

 

 

今回は画面(スケッチブック)の上でビー玉を転がしてたくさんの線を引いてもらいました。

クレパスなどの描材とはちがって意外な線が引けます。しばしビー玉を楽しむNちゃん。

 

次にNちゃんはクレパスを手に取って描き始めました。

画面がどう展開していくのか、私は声かけをしながら見守っています。

Nちゃんの自由なタッチで画面はいきいきしてきました。

ビー玉によってできた線とNちゃんがクレパスで引いた線とが交錯した画面ができました。

 

完成かなとおもったら、Nちゃんはそこへセロファンを貼り出しました。

ここでもおとなの目ではわからない子どもの気持ちを感じました。

もうできただろう、なんていうのはこちらの勝手な決めつけです。

 

何が描いてあるか?そんなことは重要なことではありません。Nちゃんの作品ができたということです。線を引き、かたちが見えてきて、セロファンを貼りたかったから貼るという作業をした時間がそのままかたちになったということです。お母さんが「これ、きれいですよね」って受けとめられたことに私は感動しました。

 

 

「子どもたちはどこまでできるか」という発想より、「この子はどんなことができるのか」という発想で臨んでいます。今、目の前にいるこの子がいったいどんなことをしてくれるのだろうという期待を持った態度で臨むことを私は好みます。<子どもたち>とひとくくりにしてしまうのは、おとなの横柄さを感じるので嫌いです。

 

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コメント: 6
  • #1

    しお (土曜日, 03 9月 2011 21:01)

    ゆういん先生、こんばんは。
    Nちゃんの作品、お母さんが言われたようにとても綺麗ですね。
    幼稚園では(他の子供がいる所では?)絵や字を描かない、と
    いうのはどうしてでしょうね・・・。

    私は小学校の低学年の頃、国語の時間に物語の感想を聞かれても
    答える事が出来ない子供でした。
    頭の中にはちゃんと感想があるのですが、何故か皆の前では
    言えなかったのです。(テストは普通でした)
    社会とか算数とか答えが決まっているものは答える事が出来たの
    ですが・・・。
    授業参観の時もそうで、帰宅してから母親に物凄く怒られた事を
    今でも覚えています。

    Nちゃんがゆういん先生の前では楽しく過ごせます様に。

  • #2

    you-vi (土曜日, 03 9月 2011 23:24)

    しおさん、ありがとうございます。
    できる子なのに、やる気があるのに行動にうつせない子っているんですよね。
    でも、Nちゃんは描くことへの興味を見せますし、自主性もあるのでなんら問題ないようにおもうのです。園では先生とか友だちのプレッシャーがあるんでしょうか。
    しおさんのおっしゃる、授業中という状況であったり、答えの決まっていないものを答えるということへのためらいのような複雑な想いがあるのかもしれませんね。

    遊びも入れつつ描いているので楽しそうにやってくれてます。

  • #3

    げこっちゃん (日曜日, 04 9月 2011 00:40)

    子供達にしか見えない感じない何かがクレパスや色んな物で画用紙に現れて来ると感動しますね。
    おかあさんも子供さんの作品をたくさん誉めてあげられ安心しました。
    大人の何気ない一言が小さな心を大きく傷つける事がありますからね。

    当方教室も子供の心を大切にしていきたいと思ってます。

  • #4

    you-vi (日曜日, 04 9月 2011 09:13)

    げこっちゃんさん、ありがとうございます。
    そうですよね。あの感じ。
    子どもはその子のそのときにしか体現できないことをいくつもいくつも積み上げてアイデンティティを確立していくんでしょう。そのとき、おとながどのように反応しているか、私も自省を心がけています。

    これからもお互いに意見交換をしていきたいです。
    宜しくお願いします。

  • #5

    なっち (日曜日, 04 9月 2011 21:14)

    なんかいいなぁ。
    そのセロハンの感じすごくいい!

  • #6

    you-vi (日曜日, 04 9月 2011 21:30)

    なっちさん、ありがとうございます。
    言いたいことわかります。
    Nちゃんがやりたいように貼り付けていきました。
    子どもに無理矢理やらせるなんて大人の怠慢だとおもいます。
    私たちは、教えることは教えて、それ以外は見守るだけです。