絵を描かない子がいます。
そんなとき先生はどうされますか?
お母さんはどうなさいますか?
今回、年中さんのこの子はみんなが描き始めても、閉じこもったようにじっと座ったままでした。
先生は何度か声かけをされたようですが動こうとしません。
先生は私に「○○ちゃん、描かないんですよ」と困っておられます。先生は大変です。あっちでこっちで何かが起こってきますから、一人の子につきっきりというわけにはいきません。
毎年恒例のスチレン版画。
スチレンボード(B5)にお父さんのお顔を彫ります。
まずマジックでお父さんのお顔を描いていくのですが、その時点ですでにとてもおもしろいものができています。みんなそれぞれの表情で、どれひとつとってみても同じものはないくらい個性的です。けっして個性的であれと言っているわけではありません。結果として、個人が自身の感性で、正直に制作していることが尊いとおもうのです。
おもいもしない意外な展開ができれば面白いなと、ひとりわくわくしてK家子どもアトリエにやってきました。
なぜなら、今日はひとふでがきで描いてもらおうと企んでいたからです。
はじめは筆と墨汁で直線に挑戦です。
Mちゃんはいきなり集中モード。
一定のスピードと筆圧でやすやすと直線を引いていきます。
年少さんの子どもたちに絵を描く楽しさを味わってもらうことを第一に考え、そのために絵の具に親しめるような授業を試みています。
前回に続き、ゆびに絵の具をつけて点や線を描いていき、その後、筆を持って線を描いてみました。丸や四角にも挑戦し、子どもたちの世界はどんどん広がっていきます。
お母さんの様子を描きました。
様子を描くということは、お母さんのお顔だけではなく身体を描くことになります。またお母さんが持っている<もの>などとの関係も描くことになります。それは、お母さんのお顔だけを描く場合と比べて、子どもたちにとって描く難易度が格段にアップします。洗濯物を干すにしてもつかむ手と洗濯物の前後関係、フライパンを持つ手の指の形など前後左右の空間関係を想像しながら描き進めることになるからです。とはいえ、子どもたちはそんな理屈云々よりもバシッと描いてくれました。
子どもたちとともに外へ出てキラキラを探す時間をもちました。意外なものも含め、たくさんの発見をしてくれたようです。
子どもたちがみつけたものは、砂、水、空、太陽、ジャングルジムなどの遊具、サクランボの実、葉、電気の光、窓葉の隙間から木漏れ日。
私を木の下へ導き、体を左右に揺らせてみるとキラキラすると私に教えてくれた子もいました。ただ眺めるのとちょっとだけ自分なりの工夫をするのとでは、絵を描くときにも結果はおおいに違ってきます。