年少さんの絵画指導の日、この絵を見つけたとき私はときめきました。
おもわずカメラに収め、今日の要チェック作品であるとマークすることにしました。
課題は、ながし絵です。
画用紙を水で浸し、その上に水彩絵の具をたらして色がにじむのや流れるのを楽しみます。
言えば、それだけのことです。
でも安井幼稚園の子らはそれくらいのことで満足はしません。自分勝手!?自発的にですよね、どんどん描いていきます。
絵の具を塗りたくる子もいる中、この子はいったいどんな意識で描いているんだろう。
気になります。
その子は作品と絵の具の間を何度も往復していました。
様子を見ていると、まだまだやめる気配はありません。
そのときの絵はとてもいい状態でした。
私は一瞬止めようかともおもいましたが、その子の描く気を遮断することは控えたのです。
この絵には、特徴的な形がある規則によって並べられています。その大きさや間隔は、揃えようとしているけれど揃わないかわいらしさがあります。
右側にもなにやら形がひとつ大きく描かれています。
私は他の子にも目をやりながら遠目からふと見ると、描いていた絵の上から太い線で、ぐわあっと塗りこんでいます。私は「あ~!」と声が漏れるほどでしたが、先生がその子とお話しされています。
私はその子と先生のやりとりを聞いてみると、どうやらこの絵はエレベーターのようです。特徴的な形はボタンでした。
そこへ大勢の人がやって来てボタンが隠れるくらいになったそうです。
隅っこは少しだけあいていて、そこには人はいないということなのです。
若い先生はあわてることも、ましてしかることもなくゆったりと構えてその子の声を聞いておられました。
もしもあのとき私が止めていたら、この子にとって消化不良のまま未完成の作品になっていたはずです。
絵としての見た目は悪くなってしまいましたが、この子の過ごした時間をおもうと止めなくて良かったなとおもいます。
途中、私の目にとても良く感じたこの作品。
写した写真は貴重な<証拠>となりました。
なんといってもこの子の感性と若い先生の子どもに対する態度に感銘を受けました。
おうちの方には、ぐちゃっとなった絵を見せることになりましたが、ご勘弁を。
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