ふとした気づきがあって、その現場での写生から私の制作は始まるのですが、ちょっと描いただけでは自分が何にひかれているのかなかなかはっきりしません。
強い日差しのなか川は流れ、河川敷には草が茂り、木陰のない土は乾いて白く感じます。
アトリエに帰って、写生を見ずにまずあたってみたのがこの小下絵です。
こんな感じだったかなと、描こうとしている様子をおもい浮かべながら筆を進めます。
画材屋さんで「試してみて下さい」といただいた和紙にも描いてみました。
他の場所で見つけたアザミをこの絵に取り入れたいとおもいました。入れてみるとなんとなくあざといような気もしますが、描きたい気持ちが強くあります。
アトリエで何枚となく小下絵を描いてみます。
対象の姿にとらわれることなく、記憶に残った大切なものだけを描こうとおもうのですが、いろいろ欲が出てきたりもします。
やはりわざとらしいかなあ、などとおもいながらもアザミが描きたいという気持ちが心のすみっこにくっついてはなれません。
さりげなく描きたいんです。
よく見るとふと気づく程度に。
縦画面の方がいいとおもってましたが、アザミをなくして横画面も描いてみました。
おもいきって、画面上の川をざっくりととっぱらい、地面と草だけを描くことにしました。
なんか、いい感じです。
もう一度、小下絵を描いてみるけどダメでした。
ほぼ偶然できたような先の小下絵を越えられないのが悔しいのですが、いかに余計なものを捨てることができるか、今回その難しさを痛感しました。
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