今回、年中さんの課題はヒマワリの写生です。
みんなで育てたヒマワリを描きます。
手がかりとして<種をしっかり描いてみよう>とスタートしました。
クレパスで種を一粒一粒描いていきます。
種をたくさん描いていた子がありますが、種の数を競うように描くのは考えもので、荒っぽくなる可能性もあります。多ければいいというものではありませんが、そのエネルギーも捨てがたいものです。
逆に種の数は少ないけれども、この種はどんな花が咲くんだと言いながら描いているというように、ひとつひとつへの想いが強い子がいます。子どもはそれぞれにおもいをもって描いていますから、良い悪いの問題にしてしまわないように心がけ、その子がどう受けとめているかを私たちがよく見てあげるようにしなければなりません。
課題の核になるテーマをしっかり決めること、そして子どもたちにも徹底させることは大事なことですが、それしかやってはいけないというようなところへ入り込んでいくと、伸びやかに描こうとした芽を摘んでしまうことにもなりかねません。その見極めが難しいのですが、やはりヒマワリを写生するという基本を忘れないことにつきるとおもいます。
そのためにはものをよく見つめ、観察することです。
今回は、種を根気よく丁寧に描いてほしいという先生の思惑もありましたが、子どもたちの目の前にあるのは茎も葉もある生きたヒマワリです。
子どもたちはさまざまな発見をしてくれていました。種から描く子、茎から描く子、根っこも描く子、そしてそれらからイメージを発展させ家族が登場する子などもいました。
描きはじめから網のような縦横の線を引いている子がいました。その子は種のお部屋を描いていたのです。
ヒマワリの種のある部分が描けたら緑で放射状に線を引いている子がいました。花びらは黄色だと思い込んでいると、緑の花びらなんておかしいとおもうかもしれません。それは花びらではなくガクを描いていたのかもしれません。
おとな目線で簡単に決めつけず、あれ?とおもったらその子に尋ねてみてください。「これは何を描いたの?教えて」と。「花は緑じゃないでしょう。黄色で描きなさい」なんていうのは絶対にさけてほしいことです。
子どもたちはおとなが見えなくなったものを発見する力を持っています。それを表現しようとしているかもしれません。つまらない邪魔はせず、自分の世界に入り込んで制作に集中している子を見守ってあげてください。
絵を描くことは、各自が発見したことを親、先生、友だちなどの他者に伝える行為だといえます。上手に描けるようにというより、発見する力、表現する力、そしてコミュニケーションする力を養っていると言ってもいいでしょう。
美術が秘めている大きな力だとおもいます。
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