
私(片山侑胤)が65回晨鳥社展に出品しました作品のエスキースのうちの1枚です。
車で踏切を渡るとき、ふと見えた景色をモチーフに描きました。
線路の周辺には私たちには得体の知れない白い箱があちこちに設置されているのを目にします。白いと言っても鉄かステンレスか、近くで見ると決して品の良いとは言えない銀色で、電気で何かをコントロールするものなのか、自動制御装置のようなものが納められているのか、謎に満ちています。

草や木に囲まれてぽつんと白い箱が置かれているのを見るとなんだかいとおしくなってくるのです。
何度か写生を試みますが、自分の見た印象とは全く違うので困ってしまいます。
こんな感じじゃないんです。
これは説明的過ぎます。
何も解決しないまま、自分の描きたいのはこれでないことだけははっきりしました。

車に乗ってこの踏切を横断したときの一瞬、
私の心にふと飛び込んで来たのは何だったのか。
考えていてもわからないので、解決しようと何度も現場へ行くのですが、無駄足に終わってしまいます。
しっかり観ようと腰を落ち着けて写生すると、それはあの一瞬のことではなく、まったく別なモチーフになってしまうのです。
核心をつかみたくしっかり描こうとすればするほど、それは遠くなってしまうように思えてきます。
ああ。
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